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北海道の鉄路の再生を考える~プラスα版

1 JR北海道が『単独維持困難』路線を発表~どうなる北の鉄路?

2016年11月、JR北海道は道内鉄路の全線区(28線区2,464km)が赤字になったと発表しました。そのうち、13区間(1,237km)について「単独では維持困難」な路線として、沿線自治体と協議に入る方針を明らかにしました。北海道ではJR発足前後からすでに800kmが切り捨てられ、沿線地域の過疎が進んでいます。また、日高線や根室線(の一部)は相次ぐ自然災害で不通となり、復旧のめども立たないままに放置されています。加えて、新幹線が札幌まで延伸(2030年)された時には、並行在来線である函館―小樽間はJRから分離され、今後の対応によっては廃線の危険性が迫っています。

 

<図の凡例>

赤線 輸送密度200人/日・km未満(バス等への転換を協議)

黄線 輸送密度2000人/日・km未満(鉄道を維持する仕組みを協議)

緑線 高速鉄道開発(株)関連

黒線 条件無し存続路線

青線 北海道新幹線予定(函館までのJR北海道新幹線はすでに開業初年度で約50億円の赤字を出しています)

紫線 北海道新幹線が札幌まで延伸した時の並行在来線(小樽~函館)で、特に小樽~長万部間(いわゆる山線)がJRから経営分離される危険性がある

 

JR北海道が単独で維持が可能としている路線 → このままでは、JR北海道の鉄路は半減し、北海道の鉄道網は崩壊してしまいます。
鉄道は地域交通の要です。通学や通院、買い物等の日常生活に不可欠なものです。また、地域産業にとっても、食料基地北海道の農水産物輸送や最近急増している外国人観光客や国内観光客の移動等、地域の観光産業にも大きな影響を与えます。このままでは、北海道の地域や経済は衰退してしまいます。

JR維持「困難・可能線区」図の内容

★JR北海道「単独で維持困難な線区」(13線区1,237.2km)
◆札沼線(北海道医療大学~新十津川 47.6 km)
◆根室線(富良野~新得 81.7 km)
◆留萌線(深川~留萌 50.1 km)
◆宗谷線(名寄~稚内 183.2 km))
◆根室線(釧路~根室 135.4 km)
◆根室線(滝川~富良野 54.6 km)
◆室蘭線(沼ノ端~岩見沢 67.0 km)
◆釧網線(東釧路~網走 166.2 km)
◆日高線(苫小牧~鵡川 30.5 km)
◆石北線(新旭川~網走 234.0 km)
◆富良野線(富良野~旭川 54.8 km)
◆石勝線(新夕張~夕張 16.1 km)
◆日高線(鵡川~様似 116.0 km)

◎北海道新幹線の札幌延伸・開業で経営分離が云われている「区間」(2区間252.5km)

◎函館線(函館~長万部 112.3 km)
◎函館線(長万部~小樽 140.2 km)
<ただし、法的根拠も不明確で新幹線延伸のみが一人歩きし、JRからの住民説明も具体的に行われていません。多くの沿線住民は存続希望で署名活動を展開しています。>

☆JR北海道「単独で維持可能な線区」(11線区1,150.7km)

◇石勝・根室線(南千歳~帯広 176.2 km)
◇室蘭線(長万部~東室蘭 77.2 km)
◇室蘭線(室蘭~苫小牧 65.0 km)
◇函館線(岩見沢~旭川 96.2 km))
◇札沼線(桑園~北海道医療大学 28.9 km)
◇函館線(札幌~岩見沢 40.6 km)
◇函館線(小樽~札幌 33.8 km)
◇千歳・室蘭線(白石~苫小牧 68.0 km)
◇宗谷線(旭川~名寄 76.2 km)
◇根室線(帯広~釧路 128.3 km)
◇北海道新幹線(新青森~札幌 360.3 km)

2 JR北海道の経営困難はなぜ生じたのでしょうか

(1)JRは民営会社なのだから政府支援を求めるのは「甘え」では?

JR北海道は民営会社ではなく、所有主体は現在も政府の機関である「鉄道運輸機構」です。「鉄道運輸機構」は北海道・九州新幹線など整備新幹線の保有主であり、新幹線レールをJRに貸し出しています。「民営」化をめざすとしていますが、純粋な民営会社ではありません。そもそも、JR北海道発足のときには赤字経営が予想され、「完全民営化」は無理だと思われていました。そこで「経営安定基金」(6,822億円)を積み立て、その運用益(ほどんどが税金)500億円(年)で経営を維持するシステムをつくらざるをえなかったのです。

(2)「政府はJR北海道に支援してきた」といっていますが?

政府はやるべきことをやってきませんでした。下の図をみれば分かりますように、「安定基金」の「運用益」約500億円(年)を支払わないために、JR北海道は「発足30年間で4600億円」の運用の目減りとなりました。この運用益の大幅減が経営を困難にさせました。
また、政府はJR貨物が発足したとき、JR貨物の経営が厳しいとして列車使用をJR北海道の負担に押し付け、政府は経営責任を免れてきました。この使用料は年間100億円といわれていますから、30年間で合計3000億円をJR北海道が負担したことになります。
さらに、JR北海道の経営困難に対し、政府が資金援助を行ってきましたが、そのほとんどが貸付金(1,200億円)で、返済が必要です。助成金も同じで600億円です。それらを合算すると、政府の未払い総額は6600億円です。ですから、政府の援助といってもきわめていい加減なものでした。

(3)JR北海道はどんな「経営努力」をしてきたのですか?

JR北海道は、「安定基金」の運用益が目減りしても政府と粘り強い交渉をしませんでした。上の図でもわかるように、赤字解消のため、社員13,000人を7,100人に削減して穴埋めしました。また、レールの修繕費や安全投資も削減し赤字を縮小しました。その結果、周知のように事故や不祥事が頻発し、政府から改善命令を受けたのです。

3 JR北海道と北海道は鉄道をどうしたいと思っているのでしょうか?

(1)JR北海道再生推進会議およびJR北海道はどんな主張をしていますか?

JR北海道内部に設置されたJR再生推進会議は、法にもとづくものではなく、道民を代表するものでは決してありません。にもかかわらず、JR再生推進会議は、「線区の廃止を含めた見直し」「聖域のない検討を行うことが必要である」として、赤字線区の廃止に踏み込むことを提言しています。そして、この方向にそって北海道庁も早期に結論を出すように求めています。
JR北海道は、JR再生推会議の提言をうけて、「安定基金」の「運用益」の「目減り」等々の保証による「赤字路線の補填」を求めないで、「赤字の圧縮が先決」だとして、地域のあり方を無視して、赤字路線を廃止する姿勢をとっています。そのために、「下」(線路とその保全)を沿岸自治体の負担に転換し、「上」(鉄道運行)だけをJRが行う、と主張しています。

(2)JR北海道の主張にはどのような問題があるのでしょうか?

まず、JR北海道は政府の方針で作られ、いまなお政府が所有者ですから、最終的には、政府が責任をもつべき企業なのです。ですから、「運用益の目減り」やJR貨物の使用料を保証するのが政府の義務です。そして、単なる民間企業ではありませんから、鉄道のもつ社会的・地域的性格を尊重しなければなりません。したがって、赤字路線の廃線ではなく、赤字路線であっても、それを補填して地域の発展の役割を守る必要があります。
また、JR北海道が沿線自治体に「下」を負担させるのは、脆弱な財政能力の自治体には無理であることは明らかですから、廃線およびバス転換の口実でしかありません。
さらに、JR北海道は、サービスを提供し、地域の貢献する方針をもっておらず、他の交通機関との連携も無視してダイヤを変えたり、乗客数が少なければ増加の方策の努力をせず、列車の本数を簡単に減らし、それがますます乗客数を減らしていく、という負のラスパイルを生みだしていました。ですから、沿線自治体・住民からもJR北海道の経営にたいして多くの不満があったのです。

(3)北海道庁・知事はどのような姿勢でしょうか?

道庁は鉄路を再生・維持するために必要な新たなスキーム(制度)を作ることはしないで、従来のスキームの枠内のとどまり、各路線を選別しながら、事実上ランクづけして廃止路線を暗示しています。道庁は「維持すべき路線」「検討すべき路線」「他の交通機関への代替」に区分して、検討すべき路線では「地域負担」を求めています。地域負担が無理だとすれば、北海道の線路は結果的には、本パンフレットのポイント①に示したものになってしまいます。また、国への支援を求めていますが、線路を再生・維持するのにはきわめて不十分な支援にすぎません。政府に「運用益」の「目減り」などの補填を要求していません。
最後に、北海道庁は、沿線自治体に責任を転嫁して、自分はなにをすべきかについて逃げ腰でいます。地域は多くの不満をもち、困惑のなかに投げ込まれています。

4 公共交通機関としての鉄道の役割は終わったのか?

鉄道は道民の交通権(移動の自由の権利)を保障する基幹的手段で、他の交通機関にはない独自の役割をもっています。

  • (1)通勤、通学、通院、買い物、ビジネス活動など日常生活で安全・確実に利用できる交通手段です。
  • (2)全国のネットワークと結びついているため、他の交通機関との連結が容易で、移動にはとても便利です。そのため、外国人観光客などはJRを頻繁に利用しています。
  • (3)貨物輸送の点でもコスト大量・確実性などの長所をもっています。特に食料基地北海道の農水産物等の本州への輸送に大きな役割を担っています。
  • (4)鉄道の社会的エネルギー消費量は、車に比べて7分の1といわれるほど省エネです。したがって、環境にとても優しい交通手段であり、世界的に鉄道が見直されています。
  • (5)人口減少社会、高齢化社会において重要な役割を担う公共交通機関として鉄道が位置づけられています。バスやトラックのドライバー不足への対応や社会的弱者等の移動手段として、今後ますます重要性を増してくると思います。
  • (6)鉄道は災害などへの対応にとって不可欠です。特に2000年3月の「有珠山噴火」では、室蘭本線が不通になり、本州との旅客や貨物の代替線路として函館本線(小樽~長万部間)が重要な役割を果たしました。

鉄道は真に「持続可能な」交通手段です

ヨーロッパや国内の進んだ例を見ますと、住民のニーズに応じた便数の増加、他の交通との接続の改善などによって、<高い・不便→不利用→高い・不便→不利用>という悪循環を断ち切り、鉄道の活性化が行われています。エネルギー節約、環境保全の点でも鉄道は利点をもっています。
自動車に頼る状態がいつまでも続くわけではありません。バス・トラックのドライバーの確保も困難になりつつあり、現在の輸送が維持できる保障はありません。バス転換によって便利で安い運行が将来ともに保障されるわけではありません。マーカーの今後の利用にも限界があります。高年齢の脱ドライバー、「交通弱者」と呼ばれる人びとも配慮されなければなりません。

鉄道は貨物輸送、観光にも大きな力になります。

北海道では農産物などの貨物の輸送に大きな力を発揮していますが、トラックの長距離運行が困難になりつつあるなかで、鉄道の役割はいっそう大きくなります。また、観光は北海道の重要な産業ですが、全国の路線とつながった鉄路は、観光客(とくに不案内な外国人旅行者)にとって魅力的です。このことは札幌圏にとっても必要です。鉄道を利用して各地へ向かう旅行者が増えなければ、札幌圏の活性化は困難です。

鉄道は地域活性化の基礎です

駅を拠点とした町づくりは、地域の活性化にとっても重要です。駅を交通の中心点とするだけでなく、商業(買い物)、人の交流の拠点として位置づけることによって、鉄道と市街地全体とが活性化されます。

5 ヨーロッパの鉄道はどのようにして維持されているのでしょうか?

(1)ヨーロッパの鉄道の特徴はどのようなものでしょうか?

ヨーロッパの鉄道は、道路・港湾・空港と同じく公共的なインフラとして承認されています。これはPSO(Public Service Obligation)の精神の具体化です。PSOとは政府と社会が契約して公共的サービスを政府に義務づけるもので、不採算であっても、社会的に望ましいサービスは政府が責任をもって供給しなければならないことを意味します。一種の立憲主義(国家に対する社会的な規制)のあり方です。
スイスでは、鉄道と自動車道路との区別はなく、両者とも公共的インフラとして承認しています。スイスの面積は北海道の半分ですが、鉄道の距離はJR北海道の2倍の5,000Kmあります。また一定時間に必ず列車を走らせ、乗客のサービスを保証する「フィリークエント・サービス」を設けています。
スウェーデンでは、1日の平均乗客数(輸送密度)が1,540人(北海道の輸送密度は5,323人)であるにもかかわらず、政府を中心に責任をもって列車を走らせ、国民の移動の権利=交通権を保証しています。ちなみに、スウェーデンの人口密度は22人であり、北海道の69人に比べれば3分の1です。
フランスやドイツでは自動車のガソリン税を鉄道の維持のために使用しています。
このように、ヨーロッパでは鉄道が社会的サービスを提供することが当然となっています。日本のように道路・港湾・航空と区別して、鉄道だけを公共的インフラから除外している先進国はありません。

(2)ヨーロッパでは鉄道は生活のなかでどのように利用されていますか?

札幌の地下鉄に乗れば分かるように、土日曜日には「ドニチカきっぷ」(大人520円・子ども260円)でもって地下鉄で自由に移動できるように、料金を安くしています。これと同じシステムをヨーロッパは以前から導入しています。
また、一定数の連れ合いで列車に乗れば料金が安くなり、乗客数を確保するように努力しています。自転車やペット犬などの乗車も便利で家族連れの旅行によく利用されています。

6 公共交通としての鉄道は国の責任で支えるのがフェアーです

(1)鉄道はバス・トラック・船舶・航空機と比較して不平等に扱われている

公共交通としての鉄道の役割は、道路、港湾、空港と同じです。
しかし、長距離での地域間運行、大量輸送、時間の正確性、安全性、環境への負荷が少ないなどを考えると、他の交通手段にはない特徴を持っています。
これほどの優れた交通手段でありながら、鉄道は施設(軌道・トンネル・橋梁・駅等)の所有・管理(下部)と車輌保有・運行(上部)は一体です。
これに対して、バスやトラック、船舶、航空機は民間運用でありながら、使用する施設(道路・港湾・空港)は公共事業として国家予算で建設されています。鉄道も同じ条件で整備するのは当然です。

(2) 鉄道整備は北海道開発事業予算などで行い、地域交通を守ることが大事です

北海道の鉄道には、施設建設や車輌運行に関して北海道開発予算は一切投下されていません。ここに今日の鉄道問題があります。
これまで北海道の道路、港湾、空港、国土保全事業には多額の開発予算で進められてきました。その中には、鉄道に関する項目はありますが、しかし、予算は付けられていません。1987年4月、鉄道は分割・民営化によって、原則としてバス・トラック・船舶・航空機と同じ扱いになりました。したがって、同じ条件で運営されるのがフェアーです。
特に自然災害で生じた鉄道沿線の海岸や山間部の被害を民間鉄道会社に負わせるのは問題です。少なくとも国土保全は国の仕事ですので、災害対策事業として速やかに実施すべきです。

(3)北海道の地方財政は火の車で、鉄道の一部費用は到底負担できません

バブル経済崩壊以降、北海道の地域経済は停滞しています。そのため、札幌都市圏のみが拡大し、それ以外の旭川や函館、釧路などの地方中核都市人口は減少し、地方小都市や周辺地域でも過疎化が進んでいます。このため、小中高校や病院、市町村自治体、農協を含む民間機関等の統廃合が盛んに行われました。公的施設や民間機関が廃止された地域では過疎化に拍車がかかっています。このため地域間格差は拡大する一方です。この地域間格差を少なからず防いできた、国からの地方交付税交付金は小泉構造改革によって大幅に削減され、地方財政は火の車です。

JR北海道は「維持困難路線」沿線の自治体に対し、鉄道施設(軌道・鉄橋等)への一部費用負担を要請していますが、沿線自治体で市部は鉄道施設への支援を行いたくてもできないのが現状です。
このように地域間格差を拡大した政府や道庁札幌圏への人口集中度の地域政策に変更を迫ることも重要で、それによって鉄道を新しい地域政策の中に位置づけることも可能となるのです。

7 地域の再生と鉄道交通の未来を考える

(1)激しく進む地域の過疎化

右の表にみられるように日本
の過疎化は先進諸国の中でも例外的に激しく進んでいます。農村と都市の定義にもよりますが、日本では都市の人口割合が圧倒的に高く、中でも東京一極集中が極めて顕著です。そして何より問題なのは、農村部における人口減少が他の先進国では1%未満と、ほぼ過疎化が収束しているのに対して、日本の農村人口の減少が際立っているということです。
さらに日本の過疎地域を地域ブロック別にみると、右の図のように、北海道は中国、四国地方と並んで最も過疎地の割合が高く、人口密度も他地域の半分以下となっており、過疎化の進行が継続している日本の中でも特に厳しい過疎問題に直面しているのが北海道であるといえます。
こうした状況の中で、鉄道の存廃問題は単に一株式会社JR北海道の採算問題という視点で見るべきではなく、こうした過疎化の現実にどう向き合い、地域の再生を展望していくのかが問われる問題であるといえます。

(2)札幌圏を含む北海道全体の問題

そして特に重要なことは、過去を振り返ると農村部の過疎化がまず地方小都市の人口減少に、次いで地方中核都市の衰退につながってきたということです。いま北海道全体が人口減少に転じ、札幌市の人口増加も大幅に鈍化しています。都市機能の背景となる農村地域の過疎化が進めば、一定の時間差をおいて中心都市も衰退の運命をまぬかれません。その意味で、北海道における過疎の克服は、札幌圏の住民の将来を左右する大問題であるといえます。

(3)過疎からの転換の条件

地域の賑わいが生まれる条件は右図のように4つあります。
地域に住み続ける住民にとって住みやすいことが地域再生の条件であり、そこでお年寄りや高校生などをはじめ、住民の利便性という点で鉄道が重要な役割を担っていることは言うまでもありません。しかし同時に先進諸国の近年の動向では、地域間の人々の移住がますます大きな意味合いを持つようになっています。先進国の多くで農村人口の減少が止まってきているということは、従来からの住民が住み続けているというだけではなく、都市住民の農村移住も活発化したことが重要な要因になっています。そのため例えばイギリスでは、都市住民の移住によって農村の住宅価格の高騰が問題化しているといわれるほどです。
こうした人々の要求は自動車交通だけで満たすことはできません。急速に増加しつつある個人旅行者の多くは、まずその国の鉄道時刻表を調べます。また、ますます多くの人々が地域や移動手段を選ぶにあたって、利便性に加えて歴史や文化性、景観的な美しさなどを求めるようになっていることは欧州の鉄道観光の事例を見ても明らかです。

(4)鉄道の可能性

いま新しい時代に向かって、過疎の克服には大きな発想の転換が求められています。それは鉄道についても同様です。30年前の分割民営化時点とほとんど変わらない、設備や技術、社会の仕組みでこのような課題に対応することはできません。二次交通のあり方を含めて、新しい地域交通への技術的・社会的イノベーションが求められています。いま鉄道を選別し、廃止することは、そのための地域の知恵と工夫を決定的に制約することにつながります。

8 鉄道に何を求めるか~地域団体・住民の声

【北海道商工会議所連合会~北海道の鉄道維持の関する提言・要望書より】

★当面の対策としては、国に、現在のJR北海道に対する経営安定基金やJR貨物からの線路利用料など、経営支援策としてのスキームの見直し・再構築について要望する。また、当面の間、JR北海道の経営対応として、国からのさらなる支援をお願いする。
中長期的な対策としては、分割民営化、二島(北海道、四国)会社等に関する国のスキームの見直し・再構築。新たなスキーム・制度の検討としては、地方鉄道維持を目的とした鉄道利用者からの「ユニバーサルサービス料」の徴収など。JR北海道の経営に対する抜本的な見直しなど。

【国鉄分割・民営化=JR30年を検証する2017/4/1札幌集会】

★地域の動脈として安全な公共交通を確保する視点から必要な設備投資も行い、昨年来のダイヤ改正での通学列車「減便」を見直すなど、地域住民の足の維持、利便向上をはかること。

【石北沿線ふるさとネットワーク、JR日高線を守る会】

★「食と観光」は北海道創生戦略の中核的課題であり、「観光立国北海道」をめざすためにも、また2030年を念頭に置く時代認識からも、観光路線、物流路線、生活路線はどれも戦略的に必要とされる。

【日高線復旧等を踏まえた日高の未来を考えるフォーラム】(来場者アンケート2017/11/30】

★高齢者が、車をやめたら生活できなくて、一人また一人と町を出て都市部へ出て行っています。列車が通らなくなってから加速されています。憲法が生かされていません。庶民の声が大切と思います。

★道路、港湾、空港は鉄道と同じ交通手段。しかし、鉄道以外は公共投資で整備が行われている。この違いはおかしい。鉄道も公共投資で整備し、運営はJRで行うことが公平である。(移動の自由は国民の生活権、生存権である。憲法 25 条でうたわれている。)

★三石から苫小牧までバスで行きましたが、トイレもないし体も疲れ、バスはとても大変です。JRが早く通ることを願っています。国はムダなところにお金を使わないで、国民の足を守ってほしい。

【北見商高(北見市)の場合~毎日新聞2017/08/25付より】

★…美幌方面から最寄りの石北線愛し野駅に着く列車は午前7時17分の次は午前8時31分で始業に間に合ない。北見方面への帰りは、午後3時32分発の列車で帰らせないと次は2時間後になるため、始業時間を繰り上げた。…各地で部活・学園祭の準備が終わった後の足が確保できない、午前授業や体調不良でもすぐに帰れないなどの意見が出た。…遠軽高は名寄線が分割民営化の際に廃れ、中湧別から通っている生徒の交通費がかつては月6570円で済んだのが、バス転換5年後は約1万6000、現在は2万520円になった。